Short Story…





Short Story No 02
登校拒否




高校にはもう何日も行っていない。
二週間ぐらいだろうか?

彼が学校を休んでいる事に対して
「気にしなくていい。休む事も大切だ」
父はそう言ってくれる。

「辞めたっていいんだから、あなたの体のほうが大事なの」
母は心配そうにそう言ってくれる。

ありがたかった。
だが彼は、その優しさに甘えたくなかった。
そろそろ学校に行かないといけない。でないと駄目になってしまう。
そう肌で感じていた。

別にいじめにあってるわけではない。
信望の厚い彼は、人気者で皆から慕われている。
クラスの仲間が彼を学校に励ましにやってきているのがその証拠であるといえる。

「なぁ、大丈夫か?」
学級委員の大森が心配そうに、彼に声をかける。

「どうせ、ずる休みだろ?そろそろ学校行こうぜ」
クラスで一番体格のいい中村が親しみを込め、彼に話しかける。

「私たちにできる事があったら言ってね」
彼に密かに好意を抱いている碓井が、優しく声をかける。

「授業が遅れてる分は気にするなよ」
「体調でも悪いの?」
「元気出せよ」
「しっかりしろよ」
「お前がいないと始まらないんだよ」
他にも多くの仲間が彼に励ましの声をかける。
中には皮肉を言うものもいたが、それでも心からの皮肉ではなく
冗談半分のようだった。

皆にこれ以上心配かけるわけにはいかない。

「わかった。明日から学校に行くよ」
彼は決心したように小さいが凛とした声で皆に告げた。

「絶対だぞ!」
「約束だからな」
「ほんとに大丈夫?」
「よかったなぁ、俺達も来た甲斐があったよ」
「負けるなよ」
彼の周りで歓声が起こる。
彼はその励ましの声を真摯に受け止める。
皆の励ましが嬉しかったのだろう。
涙腺が緩み、彼は涙を流す。

「先生、泣くなよ」
「大人なんだからさ」
泣いている彼に皆がまた励ましの声をかける。

「あぁ、ごめんな」
彼は涙を拭き、赤い目のまま、笑った。




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