Short Story…





Short Story No 15




自分を変えたかった。綺麗になりたかった。
誰よりも美しくなんて望んでない。
ただ、人並みに綺麗になりたかった。

だって私の顔は、鏡を見るたびに嫌悪してしまうような顔だから。
かわいくない。かわいくない。かわいくない。
かわいくない。かわいくない。かわいくない。
いつもいつも自己嫌悪で吐きそうになる。

どうしてこんな顔で、生まれてきてしまったんだろう。

望んでしまう。
もっと、かわいかったら、両親に虐待されることもなかったんだろうな。
もっと、かわいかったら、いじめにも遭わなかったんだろうな。
もっと、かわいかったら、友達もできたかもしれないのに。
もっと、かわいかったら、面接で落とされたりしなかったんだろうな。
もっと、かわいかったら、優しい彼氏もできてたはずなのに。

もっと、もっと、もっと、もっと、もっと……

いつだって、そう、何度も、何度も悔しい思いをしてきた。
この顔のせいで、全ては、望んでも手に入らない。
気に入らない。気に入らない。気に入らない……


だから、自分を変えることにした。
一番手っ取り早い方法で。


目を整形した。60000円
瞼に注射されるのは怖かったけど、過ぎてしまえば何も怖がる必要なんてなかった。
生まれ変わった気分。実際、生まれ変わったみたい。
新しい自分の顔を見るたびに誇らしく感じる。
鏡を見るのが楽しくて仕方なくて、新しい手鏡を買った。

でも、その感情は少しずつ失われていった。
何一つとして変わらない日々が、現実がそれを教えてくれた。
それに、一重の目が二重になったのは別に問題ないけれど、
そのせいで、顔のバランスが悪い気がするの。

この団子みたいな鼻が気に入らない。
もっと高くて、小さければいいのに。
気に入らない。気に入らない。気に入らない……

だから、整形した。鼻を。390000円
鼻尖の軟骨を切りとってもらう手術。
ギブスが取れた時、私の鼻はすっきりとしてていた。
また鏡を見る時間が増えていく。

それも、しばらくの間だけだった。
気に入らない部分が増えていく。
一つ綺麗になると、別の部分が気に入らなくなっていく。

唇を薄くした。262000円
これで、顔が終わった。そう思ったのも束の間だった。
唇と目のバランスが悪すぎる。
気に入らない。気に入らない。気に入らない……

だから、今度は目頭を切った。250000円
これで私の顔は綺麗になった。
それでも、まだ自分の顔が気に入らない。

どんどんお金が減っていく。
またお金を貯めないと。
お金、お金、お金……

綺麗になりたい。
綺麗にしてもらわなきゃいけない。
このフェイスラインも削ってもらわないと、頬骨も削ってもらわないと、
たるみもとってもらわないと、肌も綺麗にしてもらわないと。
ほくろも、しわも、汚いところは無くしてもらわないと。

1秒でも早く綺麗にならないと幸せになれない。

そんなの嫌だ。
嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、
嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、
嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ……


だから、お金を借りた。
何社も回って、借りれるだけのお金を借りた。

これでまた、綺麗になれる。
これでまた、綺麗にしてもらえる。
これでまた、綺麗に……




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