Short Story…
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Short Story No 18
宝くじ
それ以外はただ、平凡に暮らしていた。
周りの冷笑や、皮肉も気にせず、彼は、宝くじを買い続けた。
彼は運が悪かった。
何年もの間、宝くじを買い続けたが、一度として当たることは無かった。
そう、ただの一度も。
初めて買って当たった奴はいる。
なのになぜ、自分だけ一度も当たらないのか?
その思いは、日に日に募り、彼は苛立っていた。
来る日も、彼は宝くじを買い続け
来る日も、彼は祈り続けた。
神、悪魔、仏、効き目がありそうなものを探し、
そのありとあらゆるものに対し、祈り続けた。
どんな犠牲を払ってもいい。
金を手にしたい。
そして、宝くじが当たることを夢見て願い続けた。
その願いが通じたのかはわからない。
ついに、彼は大金を手にした。
1億という金。
正確にいえば、5千万ずつを、たした金額だった。
しかし彼は喜びはしなかった。
その大金は、宝くじの当選金ではなく、
彼の両親が事故で亡くなって手にした保険金だったから。
彼の祈りを聞き入れたのは、一体誰だったのだろうか?
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