Shorｔ Story…

Short　Story　No 59
九鳥



「うわ、これ、すごくおいしい」
「よかった」
「すごいね、これってフレンチ、かな？」
「そうだよ、すごく手間かかったんだから」
「でも、節約するって言ってなかった？いいの？こんなに豪勢で」
「大丈夫。心配しないで、安く済ませたから」
「そうなんだ。でも、ホントおいしいよ。スープもおいしい」
「どれが一番？」
「うーん、どれもおいしいけど、この肉料理のやつかな」
「それ、おいしいでしょ、昔、得意料理だったの」
「凝ってるよね。このソースって何使ったの？」
「茄子、南瓜、セロリ、ハプリカ、玉ねぎとかをトマトで煮込んでね」
「うんうん」
「あとは粒マスタードと香味塩をアクセントに使ってるの」
「すごく上品な味だよね」
「ありがと。でも、ソースよりお肉に手間がかかっちゃって」
「肉って？何で？」
「臭みとか取るのに牛乳に漬け込んだりしたんだから」
「牛乳？へぇ、ワインとか使うのかなって思ってたよ」
「あ、ワインも入ってるよ、どう？」
「臭みとかは、別に感じないけど、これって、鳥肉？」
「うん鳥肉。でもね、タダなんだよ」
「ただ？実家から送ってきたとか？」
「ううん、公園で、捕まえてきたの」



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