Short Story…
Short Story No 79
偶然
この時期はよく人が死ぬ。
毎年、同じ日に、人が死ぬんだ。
3年前、彼女の祖父が、死んだ。
2年前、彼女の祖母が、死んだ。
1年前、彼女の祖父が、死んだ。
死はいつだって悲しい。
身近な人の死に立ち会ったことの無い僕には、
当人の感じる、その死の本当の悲しみはよくわからない。
それでも悲しんでいる彼女を見るのが辛かった。
訃報を携帯電話で聞いた彼女は、その日のうちに、彼女は家に帰り、
それからしばらくして別れを告げられた。
辛そうに現状を話す彼女に、僕は何も言えず、
結局、別れを受け入れた。
毎年そうだ。
相手は、前の年とは別の彼女なのに、
毎年、同じ日の昼に、彼女の身近な人が死ぬ。
奇妙で、恐ろしい偶然。
でも、さすがに今年は無いだろうと思った。
だけど、違った。
今年も。
今年は、彼女の祖父が死んだ。。
僕は呪われているのかもしれない。
なぜ死んだのか理由はわからない。
老衰なのか、寒いからなのか。
もしかしたら以前から病気だったのかもしれない。
訃報を聞くまでの彼女は
すごく幸せそうだった。
ちょうど一緒に、彼女へのプレゼントを選び、買ったところだったから。
今年も、彼女はプレゼントをしっかりと持って、
涙を浮かべ、悲しそうに、家へと帰っていく。
この時期に付き合う彼女は、いつもそうだ。
付き合いが浅いから、僕は彼女の家を知らない。
この時期はよく人が死ぬ。
今は、まだ、夕方より昼に近い時間で、
今日は、クリスマスだっていうのに。
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