Short Story…





Short Story No 83
臭い



私は、臭い。
クラスの皆が、そう言う。

前は一度だってそんなこと考えたことなかった。
でも、皆から言われるうちに、少しずつ自分の臭いが
気になるようになった。

今の私の体は、まるで、
魚が腐ったような臭いがする。

何度もお風呂に入り、体が赤くなるまで体を洗い、
蚯蚓腫れになるまで、爪で自分の体を擦った。
髪が軋むほどに、シャンプーもしたけど、臭いは消えない。
ただ、カサカサになっただけだった。

どうしたらいいの?

どこかに肉や乳製品を多く摂ると、脂質の分泌が増え、
体が臭くなるみたいなことが書いてあった。

だから、肉を食べないようにした。
もちろん、魚も。
魚なんて、見るだけで吐きそうになるし。

食べるのは野菜。
野菜だけ。

でも、結局、同じだった。
どんどん臭いはきつくなる。
自分が吐いた息の臭いが気になる。
血が出るまで歯を磨いても、歯肉を擦っても口臭は消えてくれない。

どうしたらいいの?

体の中から、綺麗にならなくちゃ。
体の中から、臭いをとらなきゃいけない。

ネットの友達に相談したら、香水を使うことを薦められた。
こんな簡単な方法を、見落としている自分に腹が立った。

すぐに香水を買った。
私の化粧台の上は、何本もの香水で埋まった。

オリエンタル、フローラル、シプレ。
どれも素敵な香りで、嫌いな臭いなんてない。
これで、私の臭いも消せると思うと、ほっとする。

私は、全身に香水を吹きかけ、そして、飲んだ。



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