Short Story…
Short Story No 92
かくれんぼ
隠れることに、自信を持っている少年がいた。
彼の楽しみは、昼休みに皆で遊ぶ際、
いつも最初の遊びとして
挙げられるかくれんぼだった。
彼は、目を輝かせる。
今日はどこに隠れよう。
誰も僕を見つけられない。
彼は、身を潜め、息を殺す。
まるで自分が無機物になったように、静かに、隠れる。
いつだって、彼は、皆が彼を探すのをやめ、
別の遊びをしている時に、ひょっこりと顔を出した。
時には、昼休みの間中隠れていたこともある。
いつも、彼は、得意げ。
自信たっぷりの、そして、屈託のない笑顔を浮かべる。
ただ、彼は隠れるのが上手だったわけじゃない。
誰も、彼を探そうともしない。
皆は、彼を嫌っていたから、
かくれんぼをする振りをしてただけだ。
彼が隠れるために、必死で走るその後姿を眺め、
皆は教室に戻り、携帯ゲームで対戦を始める。
邪魔な奴がいなくなったと、楽しそうに。
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