Short Story…
Short Story No 97
格闘ゲーム
格闘ゲームが好きだった。
レバーやボタンを押し、相手を殴ったり、蹴ったりするやつ。
さすがに、もう、できないけど。
ずっとやってると、気が大きくなるというか、
自分が、本当に強くなったような錯覚を覚える。
思い通りに、連続技が決まった時は、爽快。
対人戦だと特に。
ゲームよりも、大きな音が、響く。
僕に対戦で負けた奴が、台を叩き、椅子を蹴った。
そいつは立ち上がると、僕を一瞥した後、
文句を言ってきた。
僕が弱そうだから、因縁を吹っかけてきたのかもしれない。
僕が見るからにやばそうな奴だったら、こんなことにはならなかったと思う。
自分から、乱入してきたくせに。
僕は、別に卑怯な手段で、勝ったわけでもなく、
モラルも守ってるつもりだ。
ただ単に、そいつが弱かっただけの話。
ゲームってのは遊戯だ。
それもわからずに、熱くなり、そいつは、何か喚きながら、
怒声をあげ、僕に殴りかかってきた。
こうなると、ゲームなんて関係ない、ただの喧嘩。
そいつは、僕の襟首を掴み、拳を振り上げる。
終わってみれば、結果は、散々。
僕は、自分が操るゲームのキャラクターみたいに強く、ない。
だから、ナイフで刺したんだ。
何度も。
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