Short Story…
Short Story No 102
奇跡
何事も知ったような顔で、知識ひけらかす。
それが間違いだとも知らずに。
受け売り、知ったかぶり、ある意味、盲目的ともいえる。
後で間違いだと知っても、別に訂正もしない。
文句を言われれば知らないふり。
誰かが面白いといえば、それを見て笑い、
つまらないといえば、批判する。
本質を知らず、表面だけでしか、物事を考えない。
誰かにすぐ同調し、同じ意見を聞けば喜び、
反対する意見があれば首を傾げ、
そして、すぐに、忘れる。
流動的に多数に従い、自己主張もせず、
平穏を望み、弱いものを助けず、
自分が守っていないのに、モラルを守らない誰かに苛立つ。
自分よりも強い誰かに媚を売り、愛想笑いを浮かべ、
今日も疲れたと、大して疲れてもいないのに呟く。
友人はいても、親友と呼べる友人はいない。
また、その友人に対しても、会うのが面倒で、
忙しいと嘘や言い訳を並べ、今日もまた、モニターを覗く。
楽しみといえば、ネットやゲーム、音楽や映画。
あと、漫画とかその程度。
食事は、どこが原産のものかなんてろくに確かめず、
適当に食材を買い、適当な調理する。
忙しい時は、インスタントや外食。
一昨日の食事のメニューなんてもう思い出せない。
生きるために食べ、死に近づくために食べる。
単調で、大きな幸せも、大きな不幸もない。
ただの、普通が繰り返されていく今日。
そしてその今日も終わり、眠りにつく。
きっと、明日も同じ日。
明後日も、明々後日も、ずっとずっと同じ日が続いていく。
俺の人生なんて、こんなもの。
今まで、気が変にならずに済んでたのが、奇跡だったんだよ。
なぁ、君の人生は、どうだい?
きっと、面白いんだろうな。
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