Short Story…
Short Story No 107
真実
私は、1度も嘘をついたことがないんです。
子供の頃から、今まで、ずっと。
そんなの嘘だと思う人もいるかと思います。
でも、本当の話なんです。
私は、誰かに嘘をつかれるくらいなら、堂々と文句を言ったり、
言われた方が、まだ、救いがあると思ってますし、
少なくとも、私はそうしてきました。
どうして、みんな平気で嘘をつくんですか?
学生の頃でも、そう。
生意気だと言われ、いじめらました。
嘘に、噂に、言いがかり。
自分達の非を棚に挙げ、数で私を圧倒して、
所構わず、私をを面罵したり、陰で悪い噂を吹聴し笑ったり。
私は、ずっと我慢してました。
仕事だって、そう。
自分のミスを隠したり、他人に押しつけたり、
小さな手柄を、大きく見せようとしたり、
気に入らない相手を、ありもしない中傷で陥れたり。
止めたら、ターゲットは私になりました。
お店に行けば、どのお店でも、
店員が思ってもいない賛辞や、美辞麗句を並べ、
誰かを煽て、高額の何かを買わせたり、取り入ったり。
お金がなくなれば、相手にもされなくなるんですよね。
実際、私がそうだったから。
私が、交通事故に遭った時だって、
相手は自分は悪くないと言い張りました。
私の心配よりも先に、自分の正当性を並べ立てて。
自分を守るための嘘。
どうしてそんなに平気で嘘がつけるのか、はなはだ疑問でした。
もし、私が死んでたら、きっと相手のこの嘘も、
警察は信じたんじゃないかなと思います。
私は入院したけど、相手はお見舞いにも来なかったし。
好きだって、言ってくれた人もいました。
初めての恋人ができ舞い上がっていた私に、
突きつけられたのは、相手には、恋人がいたってことです。
私は、何日も泣きました。しばらく立ち直れなかったし、
病院にも通いました。
何度も、騙されてきました。
何度も、裏切られ続けてきました。
嘘は、必要なものなのかもしれません。
でも、心が痛みませんか?
そんなに、自分が、可愛いですか?
私は、それが嫌で、嘘はつかず、いつだって自分に正直に、
意見を、真実を、伝えてきました。
自分が傷つきたくないからとか、何かを守るためとか、
誰かと円滑に過ごすためとか、全部詭弁なのに。
自分にとって都合の悪いことは、嘘に逃げ、
その場だけ、うまくやり過ごしてバカみたい。
小さな嘘は、積み重なって、取り返しのつかないほどの、
大きな嘘に変わるのに。
私は、本当に、1度も嘘をついたことがないんです。
子供の頃から、今まで、ずっと。
だから、私には友達が1人もいないんでしょうね。
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