Shorｔ Story…

Short　Story　No 114
本当の私



今の私は、本当の私じゃない。
本当の私はどこにいる？
それはよくわからないけど、きっと今の私じゃない。

このままじゃダメ。
自分を変えたいって、いつもそう思ってた。
でも、どうしたらいいのかわからない。
私が本当にしたいことって何？
それすらもよくわからない。

誰かと自分を比べ、同世代の芸能人なんかと自分を比べてしまう。
いつもいつも、焦ってる。

何のために生きているんだろう。
いつも、虚しいって思ってる。

何もかも喜びを見出せないし、達成感を感じることもほとんどない。
好きな食べ物も、音楽もよくわからない。
おいしいといわれるものを食べ、いい音楽と言われるものを聴いてきた。


私には、自分がない。


だから、色々な本を読んで、自分を見つめなおした。

本当の私は？
本当の私は、何がしたい？
本当の私は、何を欲しがってる？
本当の私は、どう生きたい？
本当の私は、どうするべき？

世の中は皆嘘つきで、誰もが誰も騙されてることに気がついてない。
私も、騙されてた。
どうすればいいかなんて、誰も教えてくれなかった。
だから、ずっと自分を偽って生きてた。
本当の私になりたいけど、偽ってた時間が長すぎて何をしたらいいかよくわからない。

私には、何かがある。
他の大多数の誰かとは違う、何かがある。
でも、それを見つけられない。

私は自分を探した、本当の私を探した。
でも、見つからない。
どこかには、すばらしい私がいるはずなのに。

見つからない。
見つからない。
見つからない……。
私が本当の私を探し始めてから、２０年も過ぎたのに。

今の私は、本当の私じゃない。
本当の私はどこにいる？



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