Short Story…
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Short Story No 116
優しい人
優しい人は、どこにでもいる。
そんな、優しい人と付き合っている誰かは、
その付き合いに、最初は満足しても、
そのうちに、物足りなくなってしまうかもしれない。
その物足りなさは、刺激のなさだったり、
優しさ故の、煮え切らない態度だったり、
優柔不断な点だったりと、様々だろう。
そして、そんな態度が鼻につくようになるかもしれない。
頼りがいがないように、思ってしまう。
好きなタイプは、優しい人。
そんな言葉を、真に受けたらいけない。
優しい人を、友達にもつ誰かは、
優しい人に、色々な相談に持ちかける。
時間なんて関係ない。
深夜だろうが、早朝だろうがお構いなし。
優しい人は、迷惑そうな顔もせず、悩みを聞き、助言してくれるだろう。
たとえそれが、どんなくだらない相談でも。
そして、色々な頼みも、聞いてくれるだろう。
なぜならその人は、優しい人だから。
でも、誰かに尽くしたり、優しくするというのは、
誰かに体よくに使われることではなく、利用されることでもない。
優しい人は、自分が利用されていることを知らない。
そして、優しい人を利用している誰かは、
優しい人が、本当は優しい人じゃないことを知らない。
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