Short Story…
Short Story No 123
恐ろしいもの
幽霊を見たって奴がいる。
霊が怖いなんていう奴がいる。
悪霊の類を恐れ、暗闇で眠れないなんて奴も。
僕は考える。
何が怖いんだろう。
何を恐れているんだろう。
どうせ恐れるのなら、もっと身近なものを恐れ、
対策を考えるべきじゃないだろうか?
気付かないだけで、恐ろしい人間は存在する。
他人の不幸を願ってやまない者。
陥れるために画策する者。
我慢を知らず、衝動を抑えられない者。
異常な性癖を持ち強要する者。
不幸を食い物にし騙し貪る者。
高齢者や障害者、幼児や児童を虐待する者。
武器を持ち、侵入する者。
闇に紛れ、金品や体、命をも奪う者。
妙な薬の効果で自分すらもわからない者。
ほら、頭のおかしい奴なんて、そこらじゅうに溢れてる。
そして、もっと恐ろしい奴も。
手を汚したのにまだ捕まっていない奴だって。
日和見でその恐ろしさに目を向けず、
気付かないからこそ、言う。
事件が起こった時、口をそろえ誰かは言うんだ。
挨拶もできて、感じのいい人だった。
なんてね。
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