Short Story…





Short Story No 130
返信



ポケットの中のケータイが、震えた。
家族に気付かれないよう、ケータイはポケットの中に入れたまま、
キーを操作し、その震えを止める。
TVの音以外は無言のリビングから離れ、
届いたメールを嬉しそうに確認すると、
隠れてゆっくりと返信のメールを打ち始める。


Subject:
お返事ァりがとゥ☆★

Message:
ぃぇぃぇ、ぁたUこそ、こんなヤツとメル友になってくれてぁりがとぉ♪♪
ぁたUも動物めっちゃ好きィ!犬とヵ超ヤバぃU(∀)♪
ぁたU今年カら,受験生になッたンだぁ
平日ゎ毎日勉強UなきあL1ヶなL1(xдO。(・д・。)
デモ土日にたあくさンお返事するンで許Uてさイ!
これヵラもょろUくねッ!!
たくさん相談すると思ぅンでッ↑↑


メールを打ち終え、ケータイの小さなディスプレイを覗き込み、
返信する本文を、何度も読み返す。
確認し終わると、親指でキーを押しメールを送信する。
四十過ぎの男は、自分の娘宛てのメールを、ゆっくりと送信する。
そして、何事もなかったかのように、無言のリビングへと戻る。



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