Short Story…
Short Story No 144
簡単に
堕ろせよ。
なんてさ、いいよね、男は簡単で。
私がどんな思いで妊娠を告げたのかなんて考えもしないで、
喜ぶどころか、心配すらしてくれない。
いつも偉そうで、だから言っただろなんて、
いつだって自分が正しいと勘違いしてる。
する時はあんなに優しくても、終わった後は、
優しさも全て嘘だったみたいに振舞う。
男っていつもそう。
女ってものを全然わかってないし、わかろうともしない。
どうしたら喜んでくれるかなんて考えもしないし、
結局自分が一番好きなんだろうね。
少なくとも、私が付き合った相手はいつもそう。
6人目のこの相手もそう。
やっぱりそうだった。
自分の事しか考えてなくて、いつも嘘ばかりついて。
そのくせ、都合が悪くなると怒鳴ったり、無視したり。
いかに自分が苦労したか、苦労させられたかなんて
恥ずかしげもなくよく言えるよね。
お前が悪いって責める前に、私のことをもっと考えてくれてもいいのに。
また婦人科に行かなきゃ。
これで何回目だろう?
これで、何人目だろう?
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