Short Story…
Short Story No 145
嘘
アイツはいつも嘘をつく。
同じクラスにいる、アイツ。
つまらない嘘ばかり。
くだらない嘘ばかり。
すぐに嘘とわかるものばかり。
体調が悪い。
落ち込んでる。
不安で仕方がない。
涙が止らない。
精神的に苦しい。
怖い。
寂しい。
そして、死にたい。
こんなにも弱ってるの。
ねぇ、かわいそうだと思わない?
だから、助けてよ。
そんな内情が手に取るようにわかる。
自分を哀れに見せ、同情を誘おうとする嘘ばかり。
一番、哀れなのは、嘘がばれているということに、
アイツが気付いていないってこと。
何のために嘘をつくかなんて、大体の見当はつく。
それはきっと、心配してほしいから。
構ってほしいから。
世話を焼いてほしいから。
優しくされたいから。
愛してほしいから。
同じクラスだから、メールを拒否するのも抵抗がある。
こんなことなら、アドレスを教えなければよかった。
いっそ、俺も嘘をついてみようか。
愛してるなんて、そんな嘘をさ。
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