Short Story…





Short Story No 148
親友



「アタシの親友がさ、今度モデルデビューするんだよ。
ねぇ、すごくない?」

その話は知ってた。
だって本人から聞いてたから。
でも私は面倒だったから、その話をいかにも今知りましたって感じで、
嘘っぽくならない程度に驚いてみせる。

「あのファッション誌だよ。超有名じゃない?
ねぇ、アンタも知ってるでしょ?ってか買ってなかった?
再来月号から掲るんだって。すごいよねー」

ねぇ、何がすごいの?
自分があの子の立場に立ったわけじゃないのに。
自分が何かを成したわけでもないのに。
そう思いながらも、うんうんと、相槌をうっておいた。

「他のモデルの子とかと、今度ご飯食べるんだって。
いいなぁ。アタシも一緒に誘ってくれないかなぁ?
あーもう、羨ましすぎだよ」

あの子と他のモデルの子がどれだけ仲良くなっても、
アンタと仲良くなったわけじゃない。
それに、アンタと他のモデルの子は初対面なのに普通誘わないでしょ。
何を勘違いしてるんだろ。

「でもさ、親友が認められるって嬉しい。
前からずっとカワイイって思ってたし、絶対有名になるよ
そう思うよね?ね?」

ホント、何を勘違いしてるんだろ?
大体、あの子は私の親友で、アンタの親友じゃないっていうのに。



back