Short Story…
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Short Story No 153
悪循環
先日、起こった痛ましい事件。
TVを見ているなら、いや、見ていなくても、
新聞やネット、両親や友人からの口伝、Eメールで知ったはず。
アイツは、人殺し。
そう、人殺し。
怖い話。
誰でも良かったなんて、またそんな理由。
昔の卒業文集なんて引っ張り出して検証したところで、
それが真実かなんて、アイツ以外わかるはずもない。
考えてみる。
持っているものが、別の凶器だったら?
仮に数丁の銃や散弾銃だったとしたら?
どこかの国の乱射事件のように、もっと多くの命が奪われたことだろう。
そして、もっと多くの誰かが、悲しみにくれたことだろう。
アイツは、人殺し。
そう、人殺し。
怖い話。
そのうち、TVや新聞、ネットやEメールを見て、
この事件を知り、模倣する奴がまた出てくるんだろう。
そいつは、今回の事件を振り返り、どうしたらもっとうまくやれるか?
なんてことを考え行動を起こすんだろう。
きっと、そいつの後に出てくるそいつも。
そして、その次の、そいつも。
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