Short Story…




Short Story No 172
想い



想いを伝えようと思った。
どんな方法想いを伝えればいいのかと考えたけれど、
答えは出なかった。

とりあえず、今の想いを形にしたくて、
ケータイでメールを打ち始める。
文を入力しては消し、また入力しては消す。
どうすれば想いは伝わるんだろう?
そんなことを考えながら添削を繰り返しているうちに、電子音。
充電が切れた。

急いで充電すればよかったと後悔しても遅い。
途中まで入力していた文字は全て消えてしまった。

ケータイを充電器に挿したまま、
さっきの文面を思い出し、なぞるように文を打つ。
また添削を繰り返し、ようやくできたメール。
確認すると、ひどく陳腐なものに思えた。

長々と自分の気持ちを説明し、
どんな想いでこのメールを打ってるか。
こんなの相手からすればどうでもいいことで、
読まずに捨てられるかもしれない。

躊躇したけれど、思い切ってメールを送信する。
すぐに宛先不明でメールが返ってきた。
何回も試したけれど、結果は同じだった。

だから、手紙を書くことにした。
手紙なら、拒否されないから。
手紙なら、拒否できないだろうしさ。



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