Short Story…
Short Story No 200
救いのない話
あの人は人生がつまらないと言った。
生きることに何の意味があるのかと言った。
自分がこの先何十年か生きたとして、
一体誰が喜ぶというのか?
何の役にもたたないし、きっと誰も喜ばない。
自分ですら喜んであげられないこんな人生に何の意味がある?
人間が嫌い。
自分はもっと嫌い。
未練なんてないから、人生なんて早く終わればいい。
そう言った。
世の中の全てを、わかりきった顔で。
少し違うような気がした。
人の一生に意味は無いのかも知れないけれど、
どんな人であれ、誰かの人生には影響を与える。
それは良い影響かもしれないし、悪影響の可能性だってある。
それでも、生きているというだけで、
喜んでくれる誰かがいる。
将来には、誰かの役にたつことだってあるだろう。
喜んでもらえない人や役に立たない人だってきっと、
死ねば誰かが喜んでくれるさ。
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