Short Story…




Short Story No 202
喧嘩



さっき喧嘩をした。

割と仲良くやっていたつもりだったが、
売り言葉に買い言葉。
あのボケが手を出してきたから、
つい本気で殴ってしまった。

よほど痛かったのか、目に涙を浮かべながら頬を押さえ、
恨めしそうに俺を睨みつける。
そして、言葉にならない声で俺になにか言ってる。
よく聞き取れないが、きっと罵声だろう。

同じ部屋にいた顔見知りの奴の視線。
その軽蔑の視線が鼻につく。
関係ないくせに。

あのボケは、まだ何か呻き呟いている。
言いたいことは俺にもあったが、言葉を呑んだ。
口を開くとまた喧嘩になるのは目に見えてたから。
何も言わず、部屋を後にした。

俺らは親しい間柄だ。
痛みは残るだろうが、きっとお互いすぐ忘れるだろう。
明日になればあのボケは、誰に殴られたかなんて覚えてないだろう。
最近は、食事をしたことすら忘れてしまうぐらいだから。



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