Short Story…




Short Story No 208
寂しさを埋めるもの



どこにでもあるファーストフード店。
客が二人入ってきた。
一人はセットを注文し、代金を払う。
ポテトを食べながら席を探し、
対面で座る。

学校行きたくないとかなんとか言いながら。
面倒くさそうに親指と人差し指でポテトをつまむ。
もう一人も似たようなもの。
握ってるのは携帯電話。
席に座ってすぐ着信音。

よく流れる曲。
曲名は忘れた。

握ってた携帯を耳にあて、会話。
それを見てポテトを摘んでるやつが
ゲーム機を取りだす。
しばらくずっとそんな感じ。

電話が終わった。
今度はメール。
いや、ネットかも。
ハンバーガー食べながらカチカチと。

対面の二人、特に会話はない。
ただ黙々と画面を見つめる。

何のために一緒にいるんだろう。
暇だからなのか、寂しいからなのか。
寂しさを埋めるものは、手の中じゃなく、
目の前に存在するのに。



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