Short Story…
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Short Story No 211
初デート
「……はい」
「あの、俺だけど」
「えっ、どうして?」
「だって、今日デートの約束してたでしょ?」
「それはわかってるけど、まだ約束の時間じゃないし……」
「ごめん、なんだか待ちきれなくてさ、迷惑かなとは思ったんだけど」
「だって、私、まだお化粧もしてないし……」
「あぁ、いいよ。ゆっくり準備してて。早く着いた俺が悪いんだから」
「急に来られても困るよ。ここ、待ち合わせ場所じゃないし……」
「うん、ごめん。わかってたんだけどさ、
正直、初めて会った時からずっと気になっててさ、
電話してる時から、あぁ、早く会いたいなって思ってて、つい」
「うん……それは嬉しいけど、でも……」
「それに、お互いの家もさ、意外と近所だったし、
俺、すごくおいしいお店が知ってるって言ってたでしょ?
それってここから近いんだよね。
待ち合わせ場所からそのお店に行くより、
直接ここから行った方が早いかなって」
「それはわかるけど……」
「あぁ、一応予約はしてるからゆっくり用意していいよ。
俺、角のTUTAYAでブラブラしててもいいし」
「いや、そういうことじゃなくて」
「何?」
「どうして私の家知ってるの?」。
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