Short Story…
Short Story No 213
お迎え
子供はかわいい。
写真を撮りながらいつもそう思う。
昔は子供嫌いだった。
夜、近所で赤子の泣き声がうるさい時は、
うるさいといつも思っていたし、
かわいいと思ったことなんて一度もなかったと思う。
子供をかわいいと思うようになったきっかけはなんだっただろう。
この仕事に就いたことが一つのきっかけなんだろう。
公園で遊んでいる子供たちを被写体にし、
ファインダーを覗き込む。
何度もシャッターを切った。
純粋な眼差し、澄んだ瞳、あどけない笑顔。
圧倒的な若さ、引き締まった体。
長い髪、少し膨らんだ胸部。
そろそろ昼休みが終わる。
職場に戻らなきゃいけない。
いつまで続けられるかわからないけれど、
この仕事は楽しい。
早く時間が過ぎないかな。
そうすれば子供たちを迎えにいける。
あのバスに乗って、迎えにいける。
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