Short Story…
Short Story No 214
誤解
「まだ怒ってる?」
「いや、全然怒ってないけど」
「あぁそうなんだ。よかった」
「まだ怒ってるって最初から怒ってないし」
「そうなの!?絵文字が入れてくれないから、
怒っているのかと思っちゃったよ」
そう言われて、あぁそういうものなんだなと思った。
確かに白黒の文字だけじゃ素っ気無い。
それ以来、絵文字や顔文字を使うようになった。
「最近のメール、すっごく気持ちが伝わるよ」
そんなことを言われた。
実際に使うようになり、すごく便利だなと思う。
文章に感情を加えると言えば言いすぎだけど、
なんとなく表現力の幅が増えたような気がする。
でも、何より一番楽しいのはさ、
文章に本音が書けるだろ?
死ね、とかさ。
笑顔のアイコンを末尾にでも付けとけば、
自分の思い通りに解釈して、
冗談だと思ってくれるだろうから。
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