Short Story…




Short Story No 223
クリスマスに欲しいもの


前を歩く二人。
男が少女の手を引いて歩いていた。
とても仲むつまじく。
きっと親子連れだろう。
ランドセルを背負った女の子は楽しそうに、
今日学校であったことを大きな声で話し、
無邪気に笑う。
コートを着た男も笑顔でその話に頷き相槌を入れる。
他愛もない話。
それでも少女にとってはきっと大きな出来事。

本当に買ってくれるの?
少女がとても嬉しそうに、だけど少し不安げに質問する。
何でも好きな物言ってごらんと男。

そういえば、今日はクリスマス。
あの少女は何が欲しいんだろう。

二人はコインパーキングの中に入っていった。
今から車に乗って百貨店に行き、プレゼントでも買うんだろう。
リモコンキーの電子音に続きドアが開く音が聞こえた。
ドアが閉まる前に男の声。
大丈夫!おじさんに任せときなよ。何だって買ってあげる。

そういえば、今日はクリスマス。
あの男の欲しいものは、何だ。




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