Short Story…




Short Story No 233
そう考える時


死ね。
みんな死ねばいいのに。

男はそう考える時がある。

左を見ればへらへらした間抜け面、耳にはイヤフォン。
汚ねぇ面して口笛なんて吹いて。

少し前には、ハイヒールでトロトロ歩いてる能面面。
手に持った携帯電話を見つめ、指で操作する。
思い出したようにその電話を耳にあて大声で話し始める。

目の前には、杖をついた老人。
自分の歩みが遅いのも忘れ、道路を我が物顔で横断していく。

ストレスが溜まっているのかいないのか。
男には、通りにいる全ての人間が邪魔に感じる。

死ね。
みんな死ねばいいのに。

男がそう考える時はいつも同じ時。
今みたいに、車に乗ってる時。




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