Short Story…




Short Story No 234
誰そ彼


買い物に出かけようとし、
そういえばと、財布の中を確認する。
所持金は少しだけ。
時刻は夕方。
面倒だなと思いつつも携帯電話で時刻を確認し、
足早に最寄の小さな郵便局に。

目当ての郵便局に着いた時、
一人の老婆がハンドバックから通帳を取り出しながら局中へ。

ここは小さな郵便局。
窓口はもう閉まっている。
ATMも一台しかない。

男は腕を組み、外で待つ。
だが、一向に出てくる気配がない。
そういえば通帳を何冊か持っていた気がする。

あの婆トロトロしやがって。
苛立ちが靴音となり、カツカツと人通りのない夕暮れの中に響く。

複数の振込みでもしてるのか、しばらくしてもまだ出てこない。
カードを使えよカードを。
そう思いつつ靴音を鳴らし続ける。

ようやく自動ドアが開いた。
老婆は待っている男に気付き、すまなそうに一礼、
男は舌打ちし、入れ替わるように局内へ入ろうとし、振り返る。
そして、後ろから老婆を殴りつけハンドバックを奪って逃げていった。




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