Shorｔ Story…

Short　Story　No 246
綺麗な指


とても綺麗な指をしていた。
子供の頃からピアノを習っていたのもあり、
手は大きく、指も細く長い。
もともと色白のせいかその指はさらに細く、
そして美しく見える。

それも当然のことかもしれない。
日焼けしないように、保湿に気をつけ、
クリームをつけて、マッサージ。
フェイス用の美白液を手にもつける。
肌のケアはもちろんのこと、手に気を使っているから。

他人から見られるのは顔だけじゃない。

指先にはピンクとホワイトの２色で塗られたフレンチネイル。
今着ている服、そしてローヒールのカラーと良く合っている。
向かっているのは男の家。
最近では都合いいように使われているような気もする。

男と付き合うきっかけになったのは、
男がその指や爪を褒めたことだった。
自分が大事にしているものを褒められ、
謙遜しつつも内心嬉しかったのを覚えている。

付き合って今日で１ヶ月。
男はもう、爪なんて見ようともしない。
きっと、最初から見てなかったんだろう。




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