Short Story…




Short Story No 253
悪意



夜、風呂上りに鏡を見ると、
背中に原因不明の湿疹ができていた。
病院はもう閉まっている

痛みはなく、特に痒みもない。
なんせ体を洗うまで気付かなかったくらいだ。
もしかしたら朝には治っているかもしれない。
朝起きてひどくなっていたら薬を買うか、病院に行こうかと思っていた。

ただ、痛みは無いとはいえ、やはり気になる。
原因がわからないとやはり気持ち悪い。
原因を調べようと、いくつかのキーワードを打ち込み検索してみると、
すぐに目当てのページが表示された。
そのページから情報を適当にかいつまみ、
自分の症状に当てはまるものを探す。
原因、有効だと思われる薬、治療法もいくつか。

そんな中、ひとつのブログに目を引く治療法があった。

民間療法だとしてもでたらめ。
こんなことで治るわけがないし、
火傷や怪我をし、症状が悪化するのは目に見えている。
無知を装った悪意。
それでも、コメント蘭には、

治りました、ありがとうございます。

そんな管理者に対するお礼の言葉で溢れている。
管理者が自分で書いているのか。
それとも、騙された奴が他の奴を騙そうと書いているのか。

きっと考えても無駄なこと。
答えなんて出ないし、こんなのはよくあることだから。




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