Short Story…




Short Story No 255
耳鳴り



耳鳴りがする。
原因はよくわからない。

病院にはもう行きたくなかったけれど、
やっぱり不安で、昔のかかりつけの小さな病院にいくと、
待合室で先にいた変な男に話しかけられた。

あの、最近ビョーキの人って多いですよね。
内緒なんだけど、実は僕もそうなんです。
うつ病とかそういうのなんですかね。
そいつはそんなことを言った。
やっぱりストレスだったんですかね。
最近では頭の中で知らない人達が会話する声が聞こえてきちゃって。
毎日人が増えちゃってるみたいで、疲れちゃって。
たまらないでしょ?
それで、あなたは何ですか?
何があったんですか?うつですか?原因はやっぱり仕事ですか?
矢継ぎ早にそう聞かれ、僕は人見知りだし、怖いし、
なんと言っていいかわからなくて
ただ、曖昧にそうですねと答え、下を向いていた。

重い空気の中時間が流れ、
ようやく病院の診察開始時間になった。
受付で名前が呼ばれ、そいつは診察室に入っていった。

ほっとため息をつく。
やっぱり病院には変な奴が多いよ。
僕はうつ病じゃないし、ここは耳鼻科だ。




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