Short Story…




Short Story No 285
どこにでも



嘘つきなんてどこにでもいる。
そいつは当たり前のように、嘘をつくんだ。

その中でも特にひどい奴が一人。
まるで呼吸するように平然と嘘をつく。

その嘘の中には、
にわかには信じがたいすぐに嘘だとわかるものもあって、
いくらなんでもそれは嘘だろと指摘すれば、
顔を赤くし怒り出す始末で手に負えない。

きっと嘘をつきすぎて何が真実かわからなくなったのか、
その嘘は真実だと信じてしまっているのかもしれない。

そんな調子だから会うのも嫌になってるけど、
さすがに今日でさよならだとか、
もう連絡しないでくれと簡単には言い辛い。

また電話がかかってきた。
暇なら遊びに行かないかとの誘いに対し、
ごめん、最近忙しくてと嘘をつく。

嘘つきなんてどこにでもいる。
そいつは当たり前のように、嘘をつくんだ。






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