Short Story…




Short Story No 286
ひどい母親



泣き声にうんざりしながら、今日も目を覚ます。
暗闇の中時刻を確認すれば深夜で、またこんな時間に起こされる。
明日の仕事のことなんかを考えてさらに憂鬱になる。

誰にも吐き出せない怒りや不満。
もう放っておけばいいのだけど、隣の部屋から聞こえるその声が、
無性に癪に障り苛立たしい。

もう、機嫌をとるのに疲れてしまった。

わざと大きな音を立て、
隣の部屋のドアを開ける。

ひどい母親なんだから仕方ないよね。
私はベッドに近づき、呪詛のような言い訳を吐きながら、
腕を、ふくらはぎを、頬を、抓る。

私は悪くない。
私も似たような仕打ちを何度も受けたんだから。

痛みに醜く歪む顔。
きっと、私の顔も歪んでる。

その痛みと比例し、痛い、痛いよと泣き声は大きくなる。
まるで子供のように喚く母親の泣き声は大きくなる。






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